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人間の体ってぇのはよ、死んで2時間く
れえすっと、その死後硬直ってのが始ま
る、それも頭のテッペンから徐々に下へ
向かってな、そして半日もすりゃあ、カ
チコチになっちまう。
このベッピンさんは死んでから、俺達が
ここへ来るまで、2時間と経っちゃいな
かった。
俺達が作業に取り掛かってから、せいぜ
い2時間って所だ、死後約4時間、まだ
全身に硬直は進んで無かった訳よ。
後2、3時間もしたら箱に収めんのもひ
と苦労だったかもな、、、。
話を戻すが、死後硬直は死後半日で完成
し、30~40時間後に硬直は徐々に解
けて行き、90時間後、まぁ3、4日っ
て所で、硬直は完全に解けるって訳よ、
まぁ気温によってこの時間は、変わって
くんだがな。
サツ官なんかは検死の結果と死体の状態を、事件毎(ごと)に頭に叩き込んでって、死体を見ただけで死後どんくらいかを、覚えてくんだろうよ!場数って奴だ」
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浅井がした死後硬直のレクチャーを、ハザードを点滅させた、軽トラックの運転席で、車の脇を通り過ぎて行く、他車のテールランプを眺めながら、伸夫は思い出していた。
『えっ!』
物思いに耽(ふけ)っていた伸夫の瞳に、回転する赤い光が近付いて来ていたのが、サイドミラーに反射して映し出されるまで、伸夫は気付かずにいた。
『ア、兄貴ぃ~、ヤバイっス』
軽トラックの前に回り込んで、停車したパトカーを、凝視(ぎょうし)した伸夫は心の中で叫んだ。
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