971人が本棚に入れています
本棚に追加
――帰りのHR前……
俺は先生が来るまでの時間を使って、翔に昼休みの出来事を話した。
それを聞いた翔は目を丸くし俺の肩を掴んでくる。
正直、ロゲロゲ感が胸の奥から込み上がってくる。
「もしや、その時まで華凜様の名前すら知らなかったのか!?!?」
「あぁそうだ。てか、様ってなんだよ。お前の脳内では年中王様ゲームでもしてるのか? あと顔近い」
「そんなのどうでもいい。それより詳しく聞かせてくれよ、な?」
「はぁ?」
「お姫様だっこしたんだろ? それなら必然的に究極の美に触れたんだろ!? 触れると反発してくるあの感触を忘れたなんて言わせないぞ!!」
「感触? それってなんのことだ? はぁはぁと気持ち悪いな」
「うるひゃいうるひゃいうるひゃい! 言わなくてわかるだろ? ほら……この形……あっ華凜様はもっと揉みごたえが……うへへ」
翔は右手を広げて、タコの足遣いのように閉じたり開いたりを滑らかに繰り返す。
「わーたからその動き止めてくれ……見苦しい」
「そうか?」
「なぜ残念そうな顔をする。あと俺にはそんな下心はねぇーよ。だからそんな所触ってない」
「またまたー嘘は駄目だぞ、望様!!」
「これはマジだ。あと様をつけるな、気持ち悪い。危うく胃液と時々固形物なやつを吐きそうになったぞ」
俺はカバンからこの前ラノベを買った時に貰ったビニール袋と紙袋を出して、エチケット袋を作成。
何事も準備が大切だ。
「そんでー望ちゃんは何が聞きたいんだい?」
先ほどのウザくて気持ち悪がった翔から、大目に見て常識人の表情へ戻る。
「んまぁ、どーせ。華凛様の情報を教えてくれってことだろ?」
……ふっ、親友は何事もお見通しなんだな。
「ああ」
「うっ……うるせ」
確かに、俺はウルトラグレートデリシャスダイナマイト級に可愛い雛さんの事が好きなのは変わらないし、ノートに『付き合ってからのシュミレーション集』の書き留めも怠るつもりはない。
ちなみに現在三巻目で、キスする三秒前まで展開していることは誰にも言えない。
言えるわけがない。
最初のコメントを投稿しよう!