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まぁ、こんな今にでもマンモスとバトってそうな教師の話なんかどうでもいい。
俺は恵美ちゃんのおどおどしながら頑張る姿を応援したい、愛でたい!!
こんなう〇こ教師と恵美ちゃんを同じ天秤に載せる事自体が忌々しい。
「さて……今開いているページを音読しろ、俺が良いと言うまでだ」
いかにも『今』って所を憎たらしいほど強調させやがった。
「はいはい、わかりましたよ」
俺は立ちあがる。
多少の上下運動程度では視点は変わらない……今の俺なら空を飛びながらラノベが読める気がするぜ。
「んと……派手な音と共に鳴川恵美はイスとテーブルを巻き込んで盛大に転んだ。それは1年に1回あるかないか、っというこれ以上ないくらい見事な転びっぷりだった」
「よーし、いいぞ。危うく貴様にダイナマイトを投げつけそうになるくらい腐りきった読みっぷりだったぞ」
「そりゃどーも。じゃあ、座ってもいーすか?」
「いや、駄目だ。貴様が持っている本を確かめてみろ」
「はい? どっからどう見ても『ラブ×コイ☆』じゃないですか。先生の目は節穴ですか?」
「ふはは、そうかそうか。なら、貴様に最後のチャンスをやる。言い残したことはないか」
「うーん、あっ! 今日はいい天気ですね」
「き……貴様」
…………なんだ、この身体が勝手に怒りの矛先を向くような寒気は。
「…………へ?」
池原の顔は般若(はんにゃ)を被せたかのように変化する。
今なら口からメガ粒子砲が解き放たれ出ても不思議に思わない……うん。
「今授業でやっているのは『山月記』という唐を舞台にした小説だ。貴様は授業中に何読んでんだ!!」
メガ粒子砲発射!
何て悠長に考えていられる程肝っ玉の持ち主ではありませんでした。
「すっっすみませんでした!!」
生命の危機を感じ、本能のままに土下座。
すると、クラスの重苦しかった雰囲気が笑いの渦へと変わる。
この時、俺は忘れていた。
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