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「名前……なんて言うんだよ」
「あたしに名乗らせるの!? まぁいいわ。あたしは綾瀬 華凜(アヤセ カリン)。あんたは?」
「天城……天城 望。二年でクラスは二組だ」
「クラス聞いてないし」
「うるせ」
わざわざ教えるつもりはなかった。
ただ、心の中の不可抗力が口走ってしまった。
綾瀬さんはブレザーの右ポケットからひまわり模様の腕時計を取り出すと、困惑した目つきで見つめる。
「もう、最悪だわ」
綾瀬さんは右手で顔を抑える。
瞳に映る世界は大量の紙とファイルで散乱していて、すぐには片付きそうにないことはなんとなく察していたが……はぁ、何でこう心が動かされるのかな。
「……たくよ」
俺は綾瀬さんより遠くから、散らばっている資料を拾う。
こう困っている人を見ると放って置けないんだよな……うん。
「えっ!? な……ん……で」
「さーな。別に理由なんてねぇーよ」
右手で資料を摘んでは左腕の中に収めていく。
「あんた初対面でしょ!?」
噴火寸前の火山ようなイライラ口調の綾瀬さん。
「そんなの気にしねぇーな。とりあえず、ボランティアだと思ってくれればいいさ」
すると、草原を走る飢えたチーターのような身のこなしでサイドに入れ込み。
「…………」
気がついた時には持っていた資料がおもちゃを奪うガキ大将の如くぶん取られていた。
「なっ……なにすんだよ!?!?」
「うるさい黙れこの変態!!」
「はぁ? いきなりなんだよ? それに変態は全否定だ。周りの目線が痛すぎる」
「そんなの事実じゃない。さっきはあえて隠密にしてたけど言うからぁ……耳の穴かっぽじって聞きなさい」
「なにを?」
「その……じみーに触られたこと」
「はぁ? はっきり言って貰わなきゃわかんねぇーな」
「う……うるさいわね!! その……む……」
「む? そんな言語だけで推測出来ねーよ」
「うるさい。あんたどんだけデリカシーがないのよ」
綾瀬さんは変身する魔法少女のごとく胸の谷間に握りこぶしを添え、眉を『キリッ』と逆立てる。
……なんか、綾瀬さんが『む』とか言うからあの2つのメロンを意識してしまう。
男子をムラムラさせるには十分な大きさだし、僅かな上下運動でも揺れるし、舐めたらめっちゃ美味しいそう……って、変態か? 俺は。
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