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その教室の一つ、ちょうど他のクラスに挟まれる位置にある「C組」こそが、横島が向かうべき場所…
横島は足音を殺しながら、ドアに近寄りそっと聞き耳を立てる、中からは「いい?ここの問題は…」とか説明する先生の声が聞こえてきた、一方、生徒達も和やかな雰囲気で多少の私語が入り混じりながらも、ちゃんと先生の話を聞いてるようだ。
(さて、どのタイミングで入ろうか…)
横島はドアにピッタリとくっつきながら、中の様子に聞き耳を立てる。
(では、この問題を解いてもらおうかしら…)
と、先生が言った瞬間に横島はドアの取っ手に指をかけ、一気に開いた。
ガララァァァァ!!バン!!!
『その問題の答えはズバリ「21…ぶがはっ!!』
唐突にドアを開き、中に半歩入りながら、元気良く問題の答えを言ったまでは良かったが、小さな車輪が付いて開け閉めが軽い力だけで可能なドアは、あまりに勢いがつきすぎた為、加えられた力のままに反対側へぶつかり、そのまま豪快に跳ね返ってきて、横島の横っ面を叩いた。
わははははは!!
教室内に居るクラスメート達が笑う中、横島は左頬をちょっと赤くしながら、入り口で苦悶していた。
『横島君、遅刻してきて何をいきなり…』
呆気にとられていた教師…菅原恭子先生は、数秒の間をおいてから声をかけた。
『いえ、遅刻してきたからこそですよ菅原先生』
左頬に縦一線の赤い打撲後を残しつつ、スッと立ち上がって不敵な笑みを浮かべる。
『へえ、遅刻したから今みたいな事をしたの?どうしてかしら?』
『はい、理由は極めて単純です』
『言ってみなさい』
『遅刻をしてきたのに、ソッと入ってくるなど往生際が悪いだけ、ならば遅刻したのを認めて、堂々と教室に入るのが一番かと思いました』
学校の門の所で、氷山先生から逃げようとした事実がありながら、横島はそんな事など無かったかのように言う。
『分かりました、横島君の潔さは実に良いですね、今後は遅刻しないように気をつけなさい』
『ありがとうございます』
ビシッと姿勢を正す横島、さながら軍隊の兵のように…
『では横島君、君はこの時間、廊下に立っていなさい、ちなみに先ほどの問題の答えは「26」です、21じゃないわよ』
『いやぁぁぁ~!!』
しかし、菅原先生は容赦なく横島に遅刻した罰を与えるのであった。
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