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『いやいや、今日は朝から笑わせてくれたな横島』
遅刻した罰を受けた後、二時間目の授業からは普通にいつもと同じように勉強した、横島は先生が問題を出すと、手を上げては答えを言う、他の生徒と違って積極的に授業に参加している姿勢は立派なのだが、答えの実に七割近くが間違っていると言う所が問題であろう。
『そうか?今日はイマイチ勢いに乗せられなかったしな』
午前の授業が終わり、昼食の時間となったクラスメート達は各々の仲の良い者同士で寄り集まり、弁当や購買部で買ってきたサンドイッチやジュースを飲みながら、談話している。
横島も同じく昼飯を食べつつ、クラスの友人と一緒に話をしていた、横島は授業の終わりと同時に教室を飛び出し、好物のツナマヨサンドイッチとコーラを買って来ていた、その俊敏さには先生方ですら、二の次の言葉が出ない。
『つーか、遅刻してきてあんな事をすんのアンタだけだって、もし普通に誤ってたら、注意されるだけで済んだんじゃないの?』
ケタケタ笑いながら、弁当を箸でつつく女子が言う。
『ぐっ…確かにそんな気はするが、オレの熱い魂が普通のリアクションを許さないんだ』
『ぶっ、バカかお前は?何が熱い魂だよ!それで先生を怒らせて廊下に立たされてりゃ、意味無いどころか、悪化させてるだろ』
『くそぉぉ…みんながオレをイジメる~、くうう~』
意味もなく泣くリアクションをする横島を見ながら、女子が苦笑いをする。
『いや、別にイジメてないっしょ、どちらかと言うとワタシって優しいんじゃない?』
『はあ?お前が?!いやいや、それはあれだ…勘違いと言う奴だな、お前にあるのは「優しさ」じゃなく「野生と暴力」だ』
横島の答えに対して女子生徒は不意にジャブを放ち、避ける暇も与えず、見事こめかみへと拳を打ち込んだ。
ガッ!
『ってぇぇ!何すんだ森井!』
『あんたが女の子に向かって「野生と暴力」とか言うからでしょうが!』
『事実だろ!今だって、オレの優れた脳を納めた頭の…しかもテンプルを打ちやがって、おかげで脳細胞がちょっと死んだかもしれないじゃないか!』
『大したことないから安心しなよ、授業でも間違えまくりだったじゃん』
『バカだな森井、俺の脳は普通の勉強には全く向いてないんだ』
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