新たなる始まり。

7/7
前へ
/905ページ
次へ
『…じゃあ何の勉強に向いてんのさ』 『そんなもん漫画やアニメに決まってるだろ、一度読んだだけで頭に入るからな』 『アニメの知識かよ!!』 ジャブを打ち込んだ女子・森井夏子と反対側に座る男子の益田満がツッコむ。 『おう!アニメや漫画は人間の創造力を用いて創られた、非常に優れたモノだ、その内容は実に魅力的なものが溢れている、例えば…見ろ益田、この女を』 顔は益田の方に向けたまま、ビシッと森井夏子へと指差す。 『アタシが何よ?』 その問いには答えず、益田へと話を続ける横島。 『森井とアニメキャラクターの美しさはスバ抜けて違うだろうが!石とダイヤモンドくらいに違……ぐばぉぉっ!?』 そこまで言った瞬間、横島は奇妙な断末魔を上げた。 『アンタ…そこまで言ってくれるとはいい度胸してるじゃない?…覚悟はしてんだよね?』 横島の左頬にストレートを打ち込んだ森井は、手を引いた後にボキボキと指を鳴らながら、横島に殺気を込めた視線で睨みつけた。 『おのれぇぇ…一度ならず二度までも、俺にパンチを打ち込むたぁ…さすがにオレ様のライバルだぜ』 口元をさすりながら、何かのスポーツ漫画のような台詞を吐きつつ、スックと立ち上がる。 横島はストレートを不意打ちで食らったにも関わらず、全然堪えていない様子であった、それもその筈、森井夏子はボクシングをかじった経験があるが、横島も空手をかじった経験があったからだ、つまり…殴られ慣れているので多少のパンチならば平気なのだ。 『なによアニメ野郎、またやるっての?』 『いいねぇ、お前との勝負は二年生に進級した頃以来だ、ここで決着をつけるか?』 『はあ?一週間前の勝負を忘れた?…アタシにボロ負けした記憶は無くなってるワケ?』 森井は容姿を漫画のキャラクターと比較されて怒っているが、一方…横島はお構い無しで、アニメや漫画のノリで応じる。 森井は椅子を蹴倒しながら立ちがあると、2人は向かい合って、それぞれが習得した格闘技の構えを取りながら、ジリジリと間合いを詰め始めた。 『やめろって!!』 益田はとっさに声を上げて、2人を止めようとする。 ボカ!ザザッ…ビシッ!ガッ!……… 『だから止め…ぶはぁ!』 しかし次の瞬間、横島が攻撃を避けた拍子に、顔の横を通り過ぎた森井の鋭い左ストレートが、横島の後ろに立っていた益田の顎を打ち抜いてしまい、床にパタリと倒れたのであった…
/905ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加