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放課後。
横島正、益田満、森井夏子の三人は学校行事の「山登り」に向けて準備をするべく、放課後に買い物へと向かった。
『しかし高校生になってまで「遠足」はねんじゃねえかな』
益田は気怠そうな口調で、一緒に居る2人に話しかけた。
『アタシは遠足は好きだけどね、山とか滅多に登らないし』
森井はそう答えながら、益田とその隣に居る横島に顔を向ける。
『まあ、オレも嫌いではないな』
『マジか?』
『いいじゃない、たまには都会から離れるのも』
『行事とかでないと、わざわざ山なんか行かないし…オレもいいと思うぜ』
横島も益田に比べれば、遠足に不満を見せない、むしろ喜んでいるのではないだろうか。
会話の内容からして三人の中では唯一、益田のみがあまり良く思ってないらしい…
…………………………………………………
ここで、昼頃に横島と森井が喧嘩を始めた頃の話になるが、二人とも周りのクラスメート達への迷惑など考えず、ストリートファイト…いや、スクールファイト?とでも言うような、格闘を始めた。
森井はボクシングの軽快なフットワークを生かし、横島の正拳突き、回し蹴りを避けるものの、横島が繰り出す突き、蹴りなどのリーチ差になかなか踏み込めず、少し無理をして繰り出したジャブやストレートでは、踏み込みが浅い為に威力がなく、打たれ慣れた横島に大したダメージが与えられず。
方や横島の攻撃は重さはそれなりにあるが、スピードで勝る森井に当てにくく、やや大振りな攻撃をするのが欠点となって、次々に繰り出す技が殆ど当たらない、その為にこれまた手詰まりの状態であった。
そんな勝負ゆえに毎度ながら長期戦になる、横島が勝つのは森井が体力を消耗してフットワークが鈍った時に攻撃が命中した時、逆に森井が勝つのは横島が決め手として放つ際の「やや大振り」に繰り出した攻撃の隙を付いて、急所にパンチを叩き込むのに成功した時だ。
つまり、互いに自分がどうすれば有利になるのか分かっているのである、故に横島はいかにして森井を疲れさせるか、森井はいかに横島の攻撃の隙を付いて踏み込むか…ジリジリとした持久戦になる。
ただ、スピードや技量の関係から森井に軍配が上がる方が多いのも確かで、一週間前の勝負も大きい蹴りを出そうとした瞬間に踏み込まれ、顎にワンツーパンチを叩き込まれ、くらっとしてる合間にボディーストレートを打ち込まれてダウンした。
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