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「なあ、桜」
立ち上がる。
「……いってらっしゃい」
俯いたまま、桜はそう言った。
「いいのか?」
「こんな状況でお兄ちゃんを引き止めれるわけないでしょ。そんな理由も無いしね」
「……そうか」
「あの子にとっては、きっとお兄ちゃんが全てなんだから」
「……いってくるよ」
俺は、携帯だけ持って家を出た。
『桜』はまだ近くにいるだろうから、すぐ見つかるはずだ。
そんな余裕とは裏腹に、いつの間にか、走り出していた。
近くのコンビニやゲームショップ、少し遠い本屋などへ向かってみたが、桜はいなかった。
住んでるところは割と田舎だから、人の集まる場所は限られているはずなんだが……。
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