ダッチワイフは突然に。

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目の前で立っているのは、実家にいるはずの妹――桜だった。 「どうしてお前が……」 何の連絡もなく来たのだろうか。オレの住んでいる実家からは新幹線で三時間ほどかかる。遊び感覚でこれるほど近くはない。 「夜行列車に乗って、さっき着いたからだよ。まあまあ、かたいこと言わなくていいじゃない」 にやにやと笑う妹は、そそくさと部屋に入ってきた。 「へえー、ここがお兄ちゃんの住んでるところかあ。……ふふ、こっちにはベッドがあるね」 上機嫌の桜は、寝室に勝手に入っていった。 「おい、ちょっと……」 そこには見られたくないものがあるんだ、妹よ。 そういわゆる男のロマン。そして悲しき男の性。
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