26人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、えーと幸村さん? くだらねぇ冗談ならやめろよ? 俺キレっからな?」
「残念ながら冗談じゃないんです」
「……」
「佐助?」
「だぁぁああああぁああぁああああぁあああ!!!!!」
「っ!?」
キキーッ!!
バイクが急停止する。
さすがの幸も、俺の突然の奇声には驚きを隠せなかったようだ。(つーか俺もびっくりした)
「び、びっくりした……どうしたんですか?いきなり」
「どうしたもこうしたも、いきなりもヘチマもクソもあるか!つーかマジ何だよ!忍隊の長!?そんなの聞いてねぇぞ!?」
「まぁ今初めて言いましたから」
「~~~っ」
クソクソクソ!
確かに今さっき初めて言ったかもしんねーけど、そーゆーのって真っ先に言うもんじゃねぇの!?普通!!
…いや、そこは幸だ。
普通とはちょっとズレてるのかもしんねぇ。
俺自身も“普通”からはかなりズレてっけどさ。
「佐助」
「! な、何だよ」
「忍隊のこと、初めに言わなくて申し訳ありませんでした。でもどうしても、貴方に『猿飛佐助』という名を差し上げたかったんです。…『猿飛佐助』は……私にとって特別な名前ですから…」
「はァ??」
俺が間抜けな声を出すと同時に、首を捻って漸くコッチを見た幸と視線がぶつかった。
幸の瞳が今日見たなかで1番哀しそうな眼をしていて、俺は何も言うことが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!