26人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、佐助の姿は無数の猿たちと共にあった。
佐助は何処から出してきたのか、ジャージのような軽装に着替えたようだ。
そして今、佐助は今まで共に過ごしてきた猿たちと最後の別れを惜しんでいた。
「じゃー…俺もう行くな。テメェら本当に元気でな」
「「「「ウキィー!!」」」」」
「ハッ、心配いらねぇってか。言うじゃねぇか、このやろ……っ、んじゃ、あばよ!!」
満面の笑顔を猿たちに向け、佐助は振り向きもせずにその場から走り去った。
そのまま一気に山を駆け下りる。
ジャージ姿で。
「…っ…」
暫くすると麓に赤いバイクが見えた。
幸村だ。
「挨拶は、もういいんですか?」
「っ、あぁ…。それよりスッゲェバイクだな。真っ赤だし」
「それが自慢なんです。それより目が潤んでますよ。泣いたんですか?」
「だ!?誰が泣くかボケ!!それより後ろか!?俺は幸の後ろに乗ればいいのか!?」
「そうですよ。あ、私の槍持って下さいね」
荷物を整理し、幸村はバイクに跨った。
そして少し躊躇した後、佐助も幸村の後ろに跨る。
「情けねぇぜ。男が女の後ろに乗せてもらうとか…」
「男女差別ですよ、それ」
「へいへい」
「はぁ。じゃ、行きますか佐助」
「りょーかい。幸村サマ」
エンジンがかかり、バイクは二人を乗せて走り出したのだった。
お猿の大将・完
最初のコメントを投稿しよう!