プロローグ

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ブロロロロロロ――… 明け方、まだ陽も上らぬ暗い内から、一台のバイクが道を走り抜ける。 バイクの色は赤。 炎のように、焔のように赤い、真っ赤な真紅だ。 誰もが思わず魅入ってしまいそうな赤いバイク。 だが、それに跨る人物の風貌は異様なものだった。 風で靡くセーラー服。 剥き出しになった太股。 向かい風の影響で激しく乱れる茶髪、そして赤いリボン。 誰が見ても不釣り合いな、異様な光景だった。 ブロロロロロロ――… 地平線の向こうが眩しいくらいに輝き出した。 日の出の時刻のようだ。 太陽が顔を出し始め、周りが明るくなり出す。 朝焼けを受けたバイクはより紅く輝き、それはそれは美しかった。
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