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「あ、やっぱり川でしたか」
その頃、幸村はようやく川の辺にたどり着いた。
「綺麗な水……これなら飲めそうですね」
膝を着き、身を屈める。
持っていた槍もその場に置き、水を掬おうとしたその時――…
「よっ!!」
「!?」
突然“何か”が川の中から飛び出し、幸村を地面に押し倒した。
あまりの事態に幸村も目を見開いて驚く。
だがそれはまた無表情に戻り、真っ直ぐに相手を見つめた。
「…あんだよ。テメェ自分の置かれてる状況分かってねぇのか?」
少しも臆する素振りを見せない幸村に、怪訝な表情をする“何か”。
しかし幸村は相変わらずの無表情だ。
「おい、何とか言えよ」
「……ナントカ?」
「あぁ!?」
凄みを効かせ、幸村を威圧する。
どうやら先程の幸村の態度が癪に触ったようだ。
「テメェ舐めてんのかアァ? マジ犯すぞゴラァ」
「犯す? …犯す、って?」
「テメェマジこの状況分かってんのか!?」
思わず大声を出す“何か”。
それもその筈だ。
傍から見ればこの光景は、“全裸の男”がセーラー服の少女を押し倒している、と云うものであるのだから。
貞操を感じない女がいるであろうか。
「だーかーら!! 俺はテメェを犯すっつってんだよ!!」
「……あ、もしかして、私のことを強姦するって言いたいんですか?」
「だからさっきからそう言ってんだろうが!!」
青筋を立て、幸村を怒鳴りつける“全裸の男”。
しかし幸村は全く動じなかった。
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