1人が本棚に入れています
本棚に追加
冬の東京は冷たく、だがビルに瞬くネオンの洪水は瞳に眩しかった。
渋谷に事務所を構える探偵 大野原裕人(おおのはらゆうと)は凍える身体をコートにしまい温かな缶コーヒーに口をつけた。
「ったく…こんな季節までこんな仕事は……」
人知れず舌打ちすると、ようやく居酒屋から出てくるだろうターゲットを見失わないように目をこらす。
「あの親父、いつまで楽しんでんだ」
雪もちらつく中、もう二時間近く立ちすくんでいる。
もちろん趣味ではない。
最初のコメントを投稿しよう!