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「あのさ……早く帰らないと、うわっもう八時だぞ」
治った手を開いたり閉じたりして感覚を確かめているヤワちゃんに帰りを促す。
ゾンビ仲間ができてかなり嬉しいんだけど、早く帰らなきゃ親が心配するだろ。
「あ、私一人暮らしなんです」
「そうなんだ、でも早く帰らなきゃまた変なやつに絡まれるぞ?」
昨日と今日で二回も不運な事件に巻き込まれた俺の言葉だ。魂入ってるぞ。
しかし、俺の魂なぞまるで感じていないらしく、ヤワちゃんは何故かソワソワし始めた。
「ええと……お夕飯作りましょうか? 助けてくれたお礼です。私こう見えて料理は得意なんです!」
「だめ。早く帰りなさい」
ヤワちゃんの提案を一蹴すると、ヤワちゃんはガックリと肩を落とした。
「今日は帰りたくないんです」
「ごめん。もう一度言ってくれないかな? 携帯で録音するから」
今の台詞は悪いがかなり悶えそうになった。エロなどが機能しない俺の唯一の喜びが萌えなんだ。引くなよ。仕方ないじゃないか。エロ本? そんなもの買う暇があったら同人誌買うよ。
「うぇ? な、なんでですか?」
「いい! すごくいいよ!」
「よくわかりませんがすごく恥ずかしい気がします……というかあの泊めてください!」
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