1161人が本棚に入れています
本棚に追加
「それはなあ……」
それこそ大家さんの言う通り、不謹慎ではないか。
「お願いです! 私……ゾ、ゾンビになってからまだ誰ともきちんと話したことなくて……それに、先輩にゾンビについていろいろ聞きたいんです!」
「先輩?」
自分のことなんだろうがそいつは間違っている。俺はまだピュアピュアな高校一年生だぜ。
俺の制服を見て同じ高校の先輩って思ったんだろうけど、俺ってばそんなに老けてるのか。
「あ、はい。私一年生なんで、あなたは先輩なんじゃないかと」
「いや俺も一年生だからね。老け顔って自覚はなかったんだけど、俺って老け顔なんだ……」
「い、いえ! 違います! 大人びていたので先輩なんじゃないかなあ、と。決して老け顔なんかじゃありません!」
慌てて小さな手を左右へ振りまくる少女。手をぎゅっとしてもよいだろうか。
「気にしてないよ。でもなあ、男女が泊まるのはマズイだろ。……あれ、この発言が気持ち悪い?」
事態は深刻だ。こんなかわええ女の子にキモい言われたら立ち直れねえ!
「い、いえ。ですけど私たちゾンビですよ?」
……ふむ。理由はわからんが、かなり説得力があるなその言葉。俺は頷いて、床にペタンと座っているヤワちゃんを見つめた。
「よし、ご飯作ってくれ」
「わぁ……ありがとうございます!」
ぴょんぴょんとヤワちゃんは台所へ向かう。まあ布団は二つあるしいっか。あ、一つは俺の分でもう一つは健二の分。あいつよく泊まりにくるから布団を俺の家に置いているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!