一章 女木直人(メギナオト)

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 もちろん俺は健二の布団に寝て、ヤワちゃんは俺の……グフフ、いかんいかん笑みが止まらないのう!  ニヤニヤしながらテレビをつける。ちょうどニュースをやっていた。 「今日の午後七時頃。○○市に住む加藤さんのお宅の塀が、何者かによって破壊されました。周りには血痕の後が残っており、警察が傷害事件を視野に入れ捜査しています。加藤さんが家から出たところ、すでに人はいなかったようです。それでは次のニュースに──」 「ニュースになってるぅぅぅう!」  マジかよ。いやニュースにもなるわな。一応切り裂き魔がいたんだし。つかあのおっさん逃げたのか。 「どうしたんですか?」 「ぶほぉ!」  台所から大きめのエプロンをしたヤワちゃんがやってきた。  あんたも一人暮らしするんだから自炊くらいしな、とエプロンを買ってくれたマイゴッドマザー……参ったね。感謝をうまく表現できないや。  あまりの可愛いさに俺は思わずのけ反っていた。 「ど、どうしたんですか? あ、エプロンですか? すいません勝手に借りちゃって」 「あ、ああ? いいよ全然? 似合ってるし」 「ありがとうございます」  ニコッと笑うヤワちゃん。いかん、話がそれた。
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