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「さっきのやつが事件になってたんだよ」
「え、本当ですか?」
ヤワちゃんは驚きながらテレビを見る。残念だが今は鍋の特集になっているが。
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃない? 誰も見てないし。あのおっさんうまく逃げたみたいだから言わないだろ」
「あの人捕まってないんですか!?」
ヤワちゃんがぶるぶると震えた。あちゃーいかん。言わなきゃよかった。そりゃ怖いよな、いくらゾンビでもあんな包丁振り回すおっさん怖くないわけねえ。 見るとヤワちゃんは泣きそうになっていた。
「あ……えっと登下校一緒に帰ろうか?」
「い、いいんですかぁ?」
声は泣いている。あ、ごめんヤワちゃん。俺は今興奮している! 君の気持ちなぞ無視して興奮している!
涙声で頼られたらそうなるっしょ。ならない? そりゃエロ本の読みすぎだ、すぐに同人誌に代えろ。
「お、おう」
「ありがとうございます!」
頭を下げられた。律儀だなあこの子。俺なんて健二に一度もお礼言ったことないぞ。いや恥ずかしいじゃん。言われた健二も恥ずかしくなると思うし。
「お礼はいいから、ご飯ちょうだい。腹減っちゃってさあ」
「わかりました! 腕によりをかけます!」
またもや台所へ行くヤワちゃん。腕によりをかけるってなんて意味だ?
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