一章 女木直人(メギナオト)

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「これはっ……」  俺は感動していた。味付けが塩と胡椒のみの野菜炒めでもなく。TKGでもない。  湯気がたつ皿を見ておらはゴクリと生唾を飲む。湯気の向こうで微笑むヤワちゃんを見てもう一度生唾を飲み込んだ。  オムライスに野菜スープそしてヤワちゃん。最高のメニューだった。 「味見はしたから大丈夫ですよ」  かわいらしい笑みを浮かべながらヤワちゃんが味を保証する。楽しみだ。あとその装着したままのエプロンは君にあげよう。 「いただきます」  とりあえずオムライスをパクり。 「────!?」  続けて野菜スープをゴクリ。 「◎$#&★!?」  言葉にならなかった。 「ど、どうでしょう?」 「結婚しよう」 「ええ!?」  いや、そんくらいうまいってこれ。なに、宇宙の神秘? みたいなのが垣間見えたぞ! 「いやいやごめんごめん。なんかあまりのうまさについ」 「う、あ、そうですか。よかったです」  顔を真っ赤にさせながらヤワちゃんはオムライスを咀嚼する。いやあ、こちらも美味しい。
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