一章 女木直人(メギナオト)

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 素晴らしい夕飯をご馳走になった俺はお風呂にはいっていた。いや、シャワーを浴びていたが正しい。  皿洗いを申し出たんだけど、ヤワちゃんにすごい剣幕で断られて仕方なしにシャワーを浴びている。ゾンビだって体を清潔にするのさ。  浴びているとヤワちゃんが、 「あのー、ここにタオル置いておきますね」  曇りガラスの向こうにはヤワちゃんのシルエットが。な、なんかエロイ。  つかこれって新婚さんみたいじゃね!?  幸せを噛み締めながら風呂から上がり、用意されたタオルで体を拭く。幸せだ。  いつもはパンツ一丁なんだが、ヤワちゃんいるし寝間着を着用。部屋には、敷き終えた布団に正座をして、ヤワちゃんが待っていた。 「えっと……シャワー浴びる?」 「うぁ!? あ、入ります!」  すたたたっ、と俺の横を通りすぎるヤワちゃん。なんで顔赤くなってたんだ? パンツは……履いてる。つか寝間着だぞこれ。  俺も気を利かせて小さめのTシャツと短パンを風呂の近くに置いておく。タオルは……さすがだ。きちんと自分で準備してるじゃないか……ん?  その上にはピンク色の布切れが置いてあった。なんともかわいらしいハンカチだ。とりあえず透かしてみたりする。 「あの……なにをやってるんですか?」  お風呂からヤワちゃんの声。そういえば風呂から外のシルエット写るのか……え!?
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