一章 女木直人(メギナオト)

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 それから約一時間。今度は俺が正座をさせられていた。  ヤワちゃんは真っ赤な顔で怒っている。どうやらさっきのハンカチ、パンティだったらしい。いやあ、お恥ずかしい。 「な、なんで透かして見たりしたんですかっ」 「いやあ偽物なんじゃないかと思って」 「私のパンツはお札ですか!」  怒った顔もかわええ。反省? してますよ。今度は絶対バレないようにする、うん絶対。 「ねえ、あんまり怒鳴ってるとまたズボン落ちちゃうよ?」  と、まさにそのときヤワちゃんのズボンがスルリと落ちる。俺の小さめのズボンでもブカブカらしい。そしてまたあのハンカチを拝めた。 「み、見ないでください! がっかりです! あなたがそんな人だったなんて!」  ズボンを押さえながらヤワちゃんは涙目になる。写真……一眼レフの高い写真が手元にあったらなあ。がっかりだよ。 「んじゃあさ、家に帰る? 俺ってこんなんだし、危ないよ?」 「うぐっ」  ヤワちゃんは押し黙った。それでも帰りたくないのかこの子は……よほどゾンビ仲間が嬉しかったんだな。  俺のニヤニヤした顔に、ヤワちゃんは頬を小さく膨らませると、そのまま黙って俺の布団へと潜り込んだ。いわゆるふて寝だ。
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