92人が本棚に入れています
本棚に追加
屋敷の廊下には
あちこちに蜘蛛の巣があり
空気も少し埃っぽい。
シャンデリアの電球も長い間、交換されていないのか電気はついていない。
頼りなのはクランが持っている蝋燭だけ。
会話もままならぬまま
カインの部屋のドアまでたどり着いた。
─コンッコンッ
ク「入りますよ。」
カインの返事も聞かず
ドアは開かれた。
─ガチャッ
ク「姫様を連れてきました。じゃあ、俺は用があるので。」
ヒ「え…っちょ…!!」
クランはそう告げると部屋から出ていった。
チラリとカインを見れば
窓のふちに足をかけ座り込み、外を眺めていた。
ヒ「あの…カイン??」
姫が呼ぶと、カインはゆっくりとこちらを見た。
カ「なぜ…ここへ来た…??」
ヒ「えっ??き…来たかったから??」
カインに見つめられ、上手く言葉が出ない姫。
カ「物好きなやつめ…」
ヒ「あの…っ!!」
姫が一歩近づく。
カ「来るな…」
ヒ「え…??」
カ「…お前の甘ったるい匂いで気が狂う…。」
に…匂い…??
私、香水とか何も
つけてないんだけどな…
そんな事を思いながら
髪や手首を匂ってみる。
最初のコメントを投稿しよう!