晴れた朝

3/14
前へ
/588ページ
次へ
起き抜けの太陽の光は強い。 堂の天井付近に造られた窓から、滝のように人々の頭上へ降りそそいでいる。 生気に満ちた清しい光は、何やら祝福されているようだと、その場にいる彼らを喜ばせた。 大広間の上座にある壇に、人影が現れた。 ざわついていた空気が瞬間、しんと静まり返る。 人影は、男がふたり、女がひとり。 額にそろいの金色の輪がはまっていて、陽の光を受けてまばゆく、きらめいている。 「これより、王子たちの出立の儀を執り行う。ここに参列している者は、その証人となるのだから、しっかりと見とどけて頂きたい」 壇上、向かって右に立つ者がまず口を開いた。 静かでおっとりした口調だったが、不思議と耳によくとどく声だ。 細身を、頭の上からゆったりとした布で包んだ、三十代ほどの男性だった。
/588ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加