軌跡の輝き

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「我、盟約を求める者」 「ワレ、メイヤクヲモトメルモノ」 教授の言葉は、意味がわからなかったけれど、とにかく、そっくりそのままくり返した。 「盟約を求める声を聞き、我を是とするものは、この手に集いたまえ。我が友となりたまえ」 最後の一言は、ディエ・ディークにも意味がわかった。 だから、しっかり気持ちを込めて言った。 どっと空気が変わったのを、肌が感じた。 突然、冷たい水の塊が頭上から落ちてきたかのような、重い圧迫を感じた。 教授がはっとしてディエ・ディークを見たが、彼が何かを言う前に、フィン・フィールがひっくり返った。 ディエ・ディークは、そちらに気を取られていて、教授の表情も視線も気づかなかった。 「フィ!? どうしたんだ、フィ……て、あれっ?」 すぐにも兄弟を助け起こそうとしたが、何故か体が動かなかった。
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