軌跡の輝き

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「ユーリ、子供たちを連れていってくれ」 父の後から、母までも姿を現し、双子は驚いた。 教授は沈黙したまま、表情を曇らせる。 「フィ、ディ。こちらにいらっしゃい」 静かで優しい母の声に逆らえる者は、エル家にはひとりもいなかった。 そうして部屋をでた後、ディエ・ディークも、フィン・フィールも、二度とその教授にはあえなかった。 その日はディリ・ファーラが具合を悪くしたから、と聞いて、双子は兄と遊ぶのも我慢した。 後日、エル家の居間で、母がささやくように話した。 「落ち着いて聞いてほしいの。ディリ・ファーラが倒れました」 「え!?」 「お医者様にも診て頂いたけれど、どこを悪くしているのか、よくわからない、と言うの」 「……お顔を見にいける?」
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