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「眠っているのよ。もう少し落ち着いたら、お見舞いにいきましょうね」
母は双子をぎゅっと抱き寄せて言った。
しかし、なかなか兄の見舞いは許されなかった。
子供の頃のディエ・ディークは、遊び相手はディリ・ファーラかフィン・フィールしかいなかった。
比率では圧倒的に、ディリ・ファーラと遊ぶほうが多かった。
そうして上の兄が倒れると、幾日も退屈するはめになる。
フィン・フィールは、こっそり王宮を抜けだして、貴族の子や商家の子と遊ぶ、という裏技を早くから覚え、あまり暇はつくらないほうだった。
だがディエ・ディークは、フィン・フィールの友人と距離を感じていて、なじめなかった。
屋敷では常に一緒の双子だったが、この時だけは、ディエ・ディークは屋敷に残り、ひとりで過ごしていた。
兄が倒れて幾日――いや、幾月か経っていただろうか。
毎日、退屈だった。
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