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ディエ・ディークからは教授が壁になって、父の姿は見えない。
父はそのまま話し始めた。
「もう教授は、この家にいれません。あなたもご存じでしょう、我が家が今、どんな状況か」
「それでも、幼い子供たちには、教授をつけてもよいのではないか」
「いいえ。それであの日、何があったとお思いか。エルに魔法は無理なのです」
「私がきたのだよ。伸びそうな若い梢に、水をやってはいけないと? 困ったね」
金の髪に隠れていて、父には見えないのだろう。
彼の辛そうな顔が。
「お帰りを。ディエ・ディーク、おまえも部屋にはいるんだ」
「どうして!?」
ディエ・ディークは叫んでいた。
この教授には怖い話を聞かされた。
けれど、不思議とまだ聞いていてもいいかな、と思っているのだ。
それなのに。
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