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「かえさないで! もっとききたい! オレたちだけじゃない。兄上も魔法の勉強がしたかったんだ。でも一度もおしえてもらえなかったから。だから、こっそり勉強するしかなかったんだ!!」
ディエ・ディークの言葉を聞いて、教授は愕然とした表情をした。
「ディファ・ロース……子供たちに、何も言っていないのか?」
教授の問いに、父は答えなかった。
ため息をついて、教授は父を振り返った。
「私に預けてみないか」
「お断りします。どんな扱いを受けるか、想像してください。あなたにも、そんな余裕はないでしょう」
「……では、子供のために、別宮を建てることは考えられないか」
「我が家は、そんな余裕はありません。国庫から支給されますか? あり得ない。誰も認めません」
今度は教授が押し黙った。
「お帰りを。お願いします」
とうとう、教授は震える息を吐きだした。
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