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ディエ・ディークを振り向いた顔は、悲しそうに笑っていた。
「すまないね、ディエ・ディーク。今日はこれで帰る。また、機会があれば」
「お帰りを」
父は早々に、教授を追い返した。
結果から言えば、つぎの機会は二度となく、その教授も、再びやってくることはなかった。
ディエ・ディークと父の仲は、その日以来悪くなるばかりで、フィン・フィールや母が、心配そうにしていた。
だが、引きさがれない。
納得がいかない。
教授の厚意を無下にする父の態度も、兄の気持ちを封じる考えも。
理解できない。
説明を求めても、おまえにはまだわからない、と言うばかりで、埒が開かない。
ある日、気持ちが爆発したディエ・ディークは、父に食ってかかった。
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