夢の狭間に

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ふと目を開いた。 ディエ・ディークは、自分がどこにいるのか、しばらく理解できなかった。 「お帰り。気分はどうだ」 若い男の声がした。 そちらに目を向けようとして、自分が床に就いていることに気がついた。 肩に鈍い痛みがある。 ――今は、いつだ。 声は、時の翁のものだった。 眉を寄せる。 「ここは我の聖堂だ。そなたが毒を受けて、ディク・リークがここまで、そなたを運んだ」 ぼんやりと、その声を聞く。 「聖堂には学院が併設してある。そこから薬学の教授と、医学の教授を呼んで、解毒を試みた」 彼の声にかぶるように、部屋の扉が開く音がする。 「翁……。あっ、目が覚めましたか、ディ」 枕辺にきたディク・リークが、ほっとしたように、静かな声をかけてきた。
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