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「短剣に塗られていた毒のせいで三日間、眠りっぱなしだったのですよ」
「おまえが余計なことをするからだ」
「……ひどい……」
ディク・リークは、がっくりと肩を落とした。
「しかし、結界の外からここまで運んだのか? その間に死ぬだろう」
落ち込んだディク・リークにはかまわず、ディエ・ディークは疑問を口にした。
「我が出向いた。毒の進む時間を止めるためにな」
ディエ・ディークは黙って翁を見た。
おかしな気分だった。
さっきまで昔の夢を見ていた。
その中にも、時の翁の話がでてきたのだ。
今、その本人が目の前にいることが不思議だ。
「あんなところまで遠征できるのか」
「呼ばれたならば」
ディエ・ディークの問いに、簡潔に答える。
呼ぶ、と口の中でディエ・ディークがくり返した。
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