夢の狭間に

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「そう難しく考えずに。いわゆる伝手です。ディはまだ、翁の名を聞いていないのですよね」 「あぁ、一年後だと言われたな。……あ? それは俺が……」 不吉な考えが浮かんだような、妙な表情になったディエ・ディークを、ディク・リークは、しっと言って黙らせた。 「とにかく。刻印を得る、とは名前を教えてもらうことも、含むものなのです。そして、刻印を持つ者が聖霊の名を呼ぶと、それだけで魔法の呪文になります」 それは、いつだったか話題になった、魔法騎士が使う簡略化した呪文と同じ原理だ。 しかしディエ・ディークには、まだそこまで思考がおよばない。 「そなたが毒に倒れた時、ディク・リークが我を呼んだ。時間に少々、介入する必要があったからな」 時の翁は楽しそうに語る。 「我は呼ぶ声に応え、そなたらの許へ赴き、ディク・リークの望みの通りに調節した」 「……聖霊の刻印を持つ者が、聖霊の名を呼ぶと、その聖霊の力を自由に使えるのです。基本的に聖霊は、召喚されている間、呼んだ者の意志に従いますから」
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