prologue

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コンビニ独特の来店を知らせる音と共に扉が開く。この音にはどうにも慣れない。 いらっしゃいませ~とだらけた店員のかけ声。 梅雨独特の湿気を含んだ空気が一瞬店内に入りこみ、また一瞬で扉は閉まった。 そして店に入って来て早々、彼が雑誌売り場に居たあたしを見つけ一言呟いた。 「……またいた」 あ 今スッゴいやな顔したよこの人。 しかもちょっとため息つきやがった。 「ここはアナタ一人のコンビニではありませんからー」 頭に来たのでわざと視線は合わさず、あたしはトゲトゲしく言い放った。 にも関わらずメゲずに話を広げようとするこの人。 「は?何言ってんですか。ここは俺のコンビニなのよ?これからココでなんか買うときは俺に直接支払えよ?わかったかー?」 わざと可愛らしく首を傾げあたしを覗き込むこの男。 あたしをからかっているのは一目瞭然なのに、彼の長めの前髪が睫にかかるのを見たらドキッとしてしまった。 「あ、お前風呂上がり?いい匂いすんなこのヤロー」 「ぐあっ!!!変態ですか!!」
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