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「南未、今日部活は?」
「う~ん。顧問のハッシーが午後から健康診断だからね、部活はナシになった」
「そっかあ」
ハッシーとは、南未の片思いしてる相手で、この学校の教師でもある。
南未はあたしと違い、昔から運動が得意で今は陸上部に所属している。ハッシーはその顧問だ。
ちょっぴり寂しそうに口を尖らせる南未に苦笑いしながらも、あたしは続ける。
「昨日もコンビニ行ったの?待ち伏せに」
「行ったよ~。しまいには栄養ドリンク投げつけてやった」
うははっと笑う南未はとても可愛らしく、でもどことなく儚げで切ない表情を浮かべていた。
「南未?」
「…言われちゃった。俺はハッシーじゃね~からなって」
「……」
「あの人、ノリが良くて軽そうに見えて、ちゃんと線引くんだよね。教師と生徒のさ」
「…うん。そうか」
「でもさ、好きになったら仕方ないし、めげずに頑張るよ」
目をキラキラさせてそう言い切る南未はとても眩しくて、頼もしくて、あたしは南未の気持ちを思うと胸が締め付けられたが
「応援してる」
と言ってあげることしか出来なかった。
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