まよいスプリング

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ツインテールに、背中を覆い隠すほどのリュックを背負う小学生。 間違いない。 八九寺 真宵だ。 今流行りのアイドルグループさながらに今、僕の心の中では踊り、『会いたかった』のフレーズを唱えている。 「お前今、僕の名前を省略して呼んだだろ。」 そんな気持ちを悟られないよう、いつもの掴みから会話に入る。 「失礼、噛みまみた。」 「今日はそこで、噛むのかよ…。」 最近になって、これには悪意はないと感じている。これを含めて挨拶が成立するものだと。 「で、どうしたんだ、八九寺。どうしてこんなところにいるんだ。」 「それはこっちの台詞ですね、桜木さん。」 ………。 時間差攻撃か。やるな。また一つレベルが上がってる。 前言撤回。悪意は確実に含まれている。 「残念ながら、僕はスラムダンクに出てくる主人公じゃない。」 「見れば分かります。だ…って身長…が…」 笑いを堪えているのが一目見て分かった。ツインテールが身体の震えに合わせピクピクと動いている。というよりもう、後ろ振り向いて大笑いしていやがる。 よし、お仕置きが必要だ。
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