まよいスプリング

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「いや、特別そんなことじゃないよ。ただ、ぶらっと、ここに立ち寄っただけだよ。」 そう、特別なことではない。テレビでこの街のことを取り上げていたのだ。そして、その時にこの場所を知った。 全く、情報に踊らされるとはまさにこのことだろう。 テレビに置ける広告はあまりに誇大で、今風に言えばこれは『盛る』ということか。あまり信用できないというのが、僕の素直な感想だ。 しかし、そのマスコミュケーションのおかげでこの街の新たな境地を知ることが出来た。 離れにあるので、余り立ち寄らないのもあるが、いかに自分が、ちっぽけな範囲でしか生活をしていたのかを思い知らされた。 「そうですよね。阿良々木さんほど、花が似合わない男、そうそういませんもんね。」 そう言いながら、八九寺は満面な笑みで、僕をに見る。 怒るに怒れねえじゃねえか。
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