とある少年・龍林

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回想を終えて俺は帰ってきた。 「ところで最近寒いよな」 俺はずっと気になっていたことを武宮に聞いた。 「そりゃ、冬だからね。」 「・・・はい?」 正直言って俺はこいつが何を言っているのかわからなかった。確かにこの寒さは冬だろうし、氷点下で夏といわれたほうが不自然だ。でもそれはあまりにも2週間前の彦星と織姫に失礼ってもんじゃないか。 「何言ってんだ、正真正銘今は冬だろうが。」 「は?」 「だから・・・」 「いや、うん、わかった。おまえが何が言いたいかはわかった。そうか、この国からもついに夏が奪われてしまったのだな。そうか、それは悲しいことだ。さらば南の島。さらばブルーハワイ。」 「何言ってんだまた。最後に至っちゃかき氷じゃねえか。だから、おまえ、今冬なんだよ。今日。わかる?1月19日。」 ・・・!? いち、がつ、じゅうくにち? 俺はテレビをつけてみた。 1/19 確かに、そう映し出されていた。 「・・・俺は、タイムスリップしたのかもしれない。」 「・・・・・・・・・・」 相手も混乱しているのだろう。 「なんていうか、俺、そういう現象、信じられなくてさ。今からおまえんち行くわ。」 「俺んち知らないだろ。」 電話口が無言になって、そのまま切れた。
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