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私は幼い頃から男性が苦手でした。
人見知りも激しかった私は小学生の時はクラスメートの男子にいじめられていました。
そんな私でも、近くに住んでいる従兄弟の同い年の男の子と
だけは楽しく遊ぶことができました。
中学生になり淡い恋心へと発展しました。
今までのように遊べなくなるのは嫌だったので、深く考えないようにしていました。
そんな矢先、祖母が他界。
莫大な遺産が残り、 遺産相続で親族同士の問題が起こり、私は両親から従兄弟にはもう会えない、会ってはいけないんだと釘を刺されました。
毎晩のように親族同士で会議が開かれ、罵りあっていました。
これから先、従兄弟と遊ぶ事は無いんだろうなと子供心に思いました。
淡い恋の気持ちも心に閉まっておきました。
それから8年が経ちました。
両親が祖母の部屋から遺書を発見し、 そこには「みんな仲良く。絶対に遺産問題で子供達を泣かすな」と書いてありました。
両親は従兄弟の両親と話し合いました。
まだ少しギクシャクしていますが、和解できました。
8年ぶりに招かれた従兄弟の家。
まったく変わってなくて、彼もあまり変わっていなくて懐かしさが込み上げました。
その日は従兄弟の家に泊まりました。
私が寝ていると従兄弟が部屋に入ってきてそっとキスをしてくれました。
その瞬間、8年間の空白が埋まり 涙が流れ落ちました。
次の日の朝、だらしない格好で寝ている従兄弟の布団を私はそっと掛け直しました。
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