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『ただいまァ』
『真、おかえり』
家に帰って玄関を開けると、空くんがソファーに座っていた。
『空くん、ママは?』
『んー、仕事じゃないか?』
『そっか』
ぽす、と空くんの隣に座る。
『今日、佐倉組に行って来た』
『………そうか』
空くんは渋い顔をする。
前に佐倉組に行った時も空くんは顔をしかめていた。
心配してくれてる。
分かってるよ……。
『なんで秘密にしてたの、パパの形見』
『…あ、聞いたのか』
『その勾玉、形見なんだってね』
『……まァな』
キラキラと光るパパの形見。
こんなに近くにいたんだ、パパの面影。
『なんで言ってくれなかったの?』
『真の分、なかったからァ。拗ねたり、傷付いたりしたら困るじゃん』
『じゅ、純ちゃんンンン!?』
『純、いたのか』
空くんと二人きりだと思ってたらビールを片手に持った純ちゃんが、飄々として答えをくれた。
『ヒドくない?最初からいましたよォ』
『てか拗ねるって、あたしが!?』
『そうだよォ。アンタの事だからさ、まァたマイナスに考えそうじゃん』
『む、マイナスって?』
『何であたしだけ形見ないの!?愛されてなかったのかな?!って~』
『う……』
『ねッ?だから言わなかっただーけ』
"深い意味なんかないよォ"と楽しそうにあたしを見つめている純ちゃん。
うん、とりあえず嘘ではないみたいだ。
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