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**** ――――コンコンッ 『入りまァす』 『人いねェのに声かけんのかよ』 『一応、礼儀としてね』 カジさんの部屋は凄くシンプルというか、片付いてるというか、正直に言うと殺風景な部屋だった。 かなり意外。 『シロップ発見!』 『貸せ、持つから』 『あたしも一個くらい持つよ』 近くにあった苺のシロップを掴む。 『よいしょ………って重ォォオッッ』 業務用シロップは意外と重たくて、油断していたあたしはフラフラとベッドのすぐ下に転んだ。 かなりマヌケ。 『ぷっ』 『わ、笑ってないで助けなよバカ!』 立ち上がろうとした時、ベッドの下に何かある事に気がついた。 『ん?』 『あ?なんだよ』 『ベッドの下に何かありまっせ、旦那』 『バカ、見んなよ。アイツも男なんだ、一つや二つあるだろうよ』 『見んなと言われると見たくなるんですなァ、コレが』 グヘヘ、といやらしい笑いを零しながらベッドの下に手を突っ込んでみる。 『………え』 『勝手に見んな……って、おい。これ』 『……覆面マスクに手袋に、黒のジャンパー』 なんでこんなモノが。 カジさんの部屋にあるの? 『まさか』 『確か佐倉を闇討ちしたヤツって』 『……待って、一回落ち着こう。あたし写メ撮る!いつまでもココにいるのはマズイから戻ろう』 ポケットから携帯を取り出して、写真におさめていくあたしの手は震えていた。
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