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『今日はもう遅いから泊まって行きなよ』 あたしの提案に二人は快く同意してくれて、ママに頼んで家に連絡して貰った。 『今日はお姉ちゃんとお兄ちゃん帰って来ないのォ?』 美羽に聞かれて思い出す。 そーいえば、いないなぁ。 『お祭りだし、デートなんじゃない?』 そうテキトーに答えておいた。 お姉ちゃんが純ちゃん。 お兄ちゃんが空くん。 二人ともフリーダム。 帰って来ない事もよくある。 もう大人だから自分で判断できるでしょ、とママは特に気にしてないみたい。 『さて寝るかァ』 ベッドに潜り、みんなでおやすみを言い合う。 いろんな事がありすぎたせいで、ベッドに横になってすぐ睡魔がやってきた。 ――――――――……… 翌朝。 寝起きの良い美羽だけが朝からテンションが高い。 あたしもまどかも低血圧で、朝は機嫌が悪い。 朝からママと楽しげに話をしながらご飯を食べる美羽を横目に、あたし達はコーヒーを啜っていた。 『も~お、本当二人は朝弱いんだからァ』 美羽の高い声がキンと響いた。 ――――ピンポーン 『は~い』 ママがパタパタと玄関へ走って行った。 『こんな朝早くから何かね』 あたしは心底嫌そうな顔をしてみせた。 『えー、早くないよォ。今もう10時だよ』 美羽は呆れた顔をして、あたしを見つめている。 まどかは少し目が覚めてきたようで、新聞を黙々と読み耽っている。 『真、お客さんよ』 『え?あたし?』 『随分イケメンね♪彼氏?』 ? そんな知り合いいたかぁ?と思って玄関に向かう。 彼氏の言葉に反応した美羽がうしろからヒョコヒョコついてくる。 『お待たせしましたーって、えええええ!?』 『おう、早くから悪ィな』 そこにいたのは、芳樹だった。
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