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―――――――……
『『『…………』』』
ああ、神様。
神様とか仏様とかって、いらっしゃいますか?
目の前に広がる光景は何……?
鉄さんに付き添われて、あたし達はこの部屋にやってきた。
『……何なのコレ』
『ふぇ~、怖いよォ』
『宴会だな』
一人冷静なまどか。
美羽はカタカタと震えている。
誰もあたし達が入って来た事に気がついてない。
『吉田さん、そんなに怯えなくても大丈夫ですよ』
ふわりと笑って美羽の頭を撫でる鉄さん。
上座、だと思われる席の端に芳樹が座っているのが見える。
『………あ』
芳樹はあたしと目が合うと、にやりと笑った。
何その笑い。
なんか企んでそうな目。
『おめーら、ちょっと黙れ』
芳樹の声に一気にシンとする。
さっきまで、皆わいわい騒いでいたのに。
『――――真』
え、あたし?
一斉にあたし達三人(そして鉄さん)に視線が注がれる。
知らんぷり。
知らんぷり。
特定されたくないし。
ほら、真があたしだってバレたらなんか怖いしね。
『……ほう、この俺を無視とはいい度胸してんな』
『…………』
絶対、返事しない。
『まァいい。真は俺の女だ』
『ちげーよ!お前の女になんかなった覚えないっつーの!』
あ…………。
ニヤリと芳樹が笑った。
アイツ、確信犯か。
チクショー。
部屋中かざわつく。
みんながあたしを見てる。
『真は俺が惚れた女だ。おめーらそれがどういう意味か分かってんだろーな?』
周りのざわめきがまた止まる。
『そこにいる二人は真のツレだ。そいつらに何かあっても俺は許さねェからな』
そう告げると、上座の反対側の端から声があがる。
『仲良くしようなー♪』
犬のように陽気そうな男の子があたし達に向けて手を振った。
『なんだか今日はめでたいね、みんな飲みな!!』
上座にいる上等そうな着物を着た綺麗な女性がそう声をかけると、またガヤガヤと盛り上がり出す。
『さぁ、皆さんも』
鉄さんに促されて、私達も御膳席に座った。
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