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鉄さんから、いろいろと説明を受ける。 今日は麗姐さんのご懐妊を祝う宴会だそうです。 麗姐さんとは、組長の奥様。 つまり、芳樹の母親。 『はァアア?あんな若くて綺麗な人が母親!?』 『美咲さん落ち着いて。麗さんは組長の三人目の奥様なんです』 三回も結婚したのか。 組長さんとやら元気だな。 『じゃあ芳樹は…?』 『芳樹さんは一人目の奥様のお子さんです』 その他に組長はまだ43歳であるとか、麗さんは27歳であるとかを聞いた。 いろんな意味で若くね!? そして芳樹には兄がいるという事も聞いた。 でもお兄さんは家業を継ぎたくなくて、一流企業に自力で就職したらしい。 『――真、ちょっと来い』 そこまで聞いた時、芳樹に呼ばれた。 『ん』 もうバレてしまったので開き直り、ついて行く。 その時、美羽も立ち上がり上座の方へと歩いて行った。 『組長』 『ん?芳樹と、真ちゃんか』 近くでよく顔を見てみると、組長さんは凄くかっこよかった。 大人の色気というか。 『麗の男に手出さないでよね』 隣から今日の主役の麗さんが顔を出す。 『バーカ。真から見たら組長は糞ジジィだっつーの』 『うるせんだよ糞ガキ』 麗さんは芳樹を睨み付けて、タバコを取り出した。 『腹にガキいんだからタバコなんか吸うなアホかテメーは』 芳樹にタバコを取り上げられて、麗さんは舌打ちする。 『麗、芳樹の言う通りだ。酒とタバコはやめろ。な?』 組長がそう言って麗の右手を握りしめた。 キャー。 ラブラブ。 いいな、羨ましい。 あたしもこんな風に歳をとりたいな。 『……うん』 組長さんに言われると、麗さんは優しく笑って頷いた。 『組長、麗。コイツが将来俺の嫁になる女だ』 芳樹に手を引かれて、あたしは二人の前へと座った。 『はっ初めまして』 『初めましてー♪』 『芳樹をよろしく頼みます』 二人の笑顔は優しげで、あたしはホッとした。 『よろしくって言われても………、あたし別に』 もごもごと口ごもる。 でも、なんかイイナ。 芳樹の家族。
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