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芳樹が麗さんや組長さんと話をしていて暇になったあたしは、視線を美羽に移す。 『直くんは彼女いるの?』 『いないよー』 『そうなんだァ…♪』 え、美羽? アンタその目……。 いや、まさか! まさかね。 だって美羽ヤクザとか無理だって泣いてたし。 うん、勘違いだ。 絶対に! ―――――べしっ 『いった』 急に頭を叩かれてビックリして叩かれた方を見ると、芳樹がむすっとした顔であたしを見ていた。 『痛いよ。何すんの』 『うるせェ。どこ見てんだよ』 『……別に』 芳樹に引っ張られて席につく。 そこにタイミング良く挨拶をしに来た人達。 『芳樹さん、おめでとうございます』 『おう』 トクトクと日本酒を注がれて、芳樹は満足そうにそれを飲み干した。 『真さん。自分は竜です。何かあったら何でも自分に言って下さい』 『あっ、美咲真です。よろしくお願いします』 竜くんは、あたしにも日本酒を注いでくれた。 うぇ~~……。 日本酒なんか飲んだ事ないよ。 でも注いで貰ったら飲まなきゃいけないんだろうな…。 よし! 頑張れ、真!! ――――ごくごくごくっ 『ぷはっ』 『テメーは親父か』 芳樹のツッコミは無視する。 『あれ、真ちゃんイケる口?』 そう言いながら竜くんの隣に座った男の人。 見た目は爽やかな感じで、なんでこの場にいるのか疑問を持ってしまうような人。 『カジ』 『真ちゃん、よろしくね。カジって呼んで』 『あ、はい』 『シカトすんな。カジお前、真に手出すなよ』 『はいはい。芳樹は過保護な上にうるさいねー』 芳樹とカジくんは仲良しなのかな? 芳樹にこんな口きいてる人、カジくんしかいないもんね。 『まァ真ちゃん飲んでよ』 『ああ、はい。ありがとうございます』 ――――ぐびっぐびっぐびっ 『日本酒って初めて飲んだけど、意外においしいですね』 あたしはそう言って笑った。
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