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―――――…… 昼間は海で騒いだあたし達。 (結局、あたしも海で騒いだ。) 夕方になり、浴衣に着替えて花火大会へと向かう。 美羽はピンクの浴衣。 まどかは白の浴衣。 あたしは黒の浴衣。 好みも性格も違う3人だけど、仲良くやっている。 『どこの姐さんだよ』 黒の浴衣姿を見たまどかにツッコミを入れられた。 これが冗談として笑えなくなるなんて誰も予測できなかった。 ――――――…… 『美羽、まどか。あたし向こうでタコ焼き買って来る』 『えー、真まだ食べるのォ?』 『美羽それ突っ込んだら負けだわ。真、先行ってるぞ』 二人はそれもそっかなんて会話をしながら、人混みに消えて行った。 ―――――……… タコ焼きを買ってホクホクのあたしは美羽たちを探すため歩き出す。 その時だった―――。 『おい、お前』 いかつい兄ちゃんがあたしのいる方を見つめてる。 ……関わっちゃいけない。 変に反応して「テメーじゃねーんだよオラアアアア」みたいになりたくないしィ。 すたすた通り過ぎようとした。 『いや、お前だから』 『げ』 あああ! あたしったら素直過ぎる! 心の声の「げ」が出ちゃったよ。 『お前がどこの組の女かは知らねぇ!でもお前に一目惚れしちまったんだ!』 『………………は?』 待て待て待て、待てぇい! どこの組の女? あたしに一目惚れ? コイツ……。 同じ学校の人なのか。 『あたし2年3組だよ』 『…………………は?』 『だから2年3組!出席番号は31番だよ』 『……………………』 え、なにこの沈黙。 もしかして年下?後輩とか? 見えないけど。 年上だと思わずに告白しちゃったとか? いやァ、でもこの人何歳か知らんけど若い男子は年上のお姉様が好きなんだよってお姉ちゃんが言ってたし。 ってなんの話やねーん。 あ、あれ? この間ずっと沈黙って…。 え、どうするよ。
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