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―――――――……
『痛みますか?』
『……もう、大丈夫ですから』
心配そうに声をかけてくれたのは、迎えに来てくれた鉄さん。
あっ、ちなみに。
発砲された時に一緒にいた彼の名前は柊芳樹(ヒイラギ ヨシキ)。
芳樹のお目付け役が鉄さんだと説明された。
お目付け役……?
『で?』
『あ?』
『あ?じゃない!ちゃんと説明して!さっきのは何?』
『……仕掛けてきやがったんだよ、三島のモンが』
何、コイツ。
説明の仕方がなってない!
あたしは何にも分かんないんだから、もっと分かるように説明してくれなきゃ。
『三島って誰よ?アンタ達は何者なのよ?全然分からないのに発砲なんかされて…っ!』
『美咲さん、落ち着いて。私から説明致します』
鉄さんは穏やかに微笑み、あたしを宥めた。
納得のいかないあたしは芳樹を睨み付ける。
芳樹はその視線に明らかに気付かないフリをして、タバコに火を付け始める。
『美咲さん、どうか驚かないで聞いて下さい』
『……はい』
『先程から芳樹さんが言う三島とは、最近勢力を増して来た三島組の事です』
『三島組…?』
『かみ砕いて申し上げると、所謂裏の世界の者。つまりヤクザです』
『やっ……ヤクザ…』
クラクラした。
あたしとは住む世界が違う。
ん?
待てよ。
その三島組に狙われるって事はまさかコイツ……。
『まさか』
『はい。そこにいる芳樹さんは柊組の若頭です』
『……………。』
そうか。
だから、どこの組のモンか知らないがとか言ったのか。
いや、つーかあたし、どこの組のモンでもないし!
2年3組の平凡な生徒だし!
『え、じゃあこんなにイケメンで穏やかで優しい鉄さんも、ヤクザ…なの?』
『ええ、まぁ』
鉄さんは苦笑いを浮かべながら、頷いた。
オーノー!
人は見掛けによらない。
マジで。
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