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『は?真、テメー何言ってやがる』
『あ、あたしだって!!』
じんわり、涙が浮かんでくる。
『……あたしだって、なおくんを疑ったりしたくない……。でも…』
"俺らは"ヤクザ"なんだよ"
"それ相応の覚悟を持って"
"気をつけて。コレカラ"
さっきのなおくんとのやり取りを思い出して、胸が詰まるような気になった。
あたしだって、疑いたくない。
芳樹の仲間を。
好きな人の大事な仲間を。
『真、また直と話したのか?』
『………うん』
『言ってみろ』
『……さっき、タバコ取りに来た時に…』
あたしは芳樹にさっきの出来事を話した。
所々、涙で言葉が詰まってヘタクソな説明だったと思う。
でも芳樹はあたしの頭を撫でながら、黙って聞いていてくれた。
仲間のこんな話、聞きたくないだろうに。
****
『真、この事はまだ誰にも言うな』
『…うん』
芳樹は何かを考えるようにしている。
『よし、一回整理するか。ここじゃ誰かくるかもしれねェ。部屋に行くぞ』
『う、うん!』
あたしは簡単な女だ。
芳樹がいると、心強く感じる。
こんなに心が軽くなる。
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