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『なァ、真』
『ん?』
『キスしていい?』
『は?え?な、なななに…』
名前を呼ばれて振り返ると、やけに真剣な顔をした芳樹がいた。
『真とキスしたい』
『……なん、で…?』
『好きだからに決まってんだろ』
あわわわわ……!
どうしちゃったんだよォォオオ!?
頭使いすぎてオカシくなっちゃった?
『真』
『……っ、はい』
『好きだ』
………う。
何、その顔。
反則だよチクショウ。
あたし、だって。
好きだけど。
――――……でも。
"覚悟"が
ワカラナイ。
見つからないんだもん。
『真は?』
『あ、の…』
『俺の事、好きになったか?』
………流されたい。
正直、ラクになりたい。
あたしも好きって伝えたい。
だけど。
"俺らは"ヤクザ"なんだよ"
"それ相応の覚悟を持って"
"気をつけて。コレカラ"
言えないよ…。
『真…?』
『あたし、あたしは…っ』
――――コンコンッ
『真?いるんでしょ?開けて』
美羽の声がして、あたし達はハァと溜め息をついた。
『待って~、今開ける』
あたしはドアに向かって叫んで、立ち上がる。
『真』
『……何?』
『俺、待ってるから。必ず俺の女になれ』
『……芳樹』
『真ォ、早く開けて!!』
うう。
美羽のバカ…。
今、イイトコだったのに。
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