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あの後、あたしは一人でベランダに来た。
『……フゥーッ』
紫煙を吐き出しながら、星を眺める。
『……覚悟、かァ』
あたし、甘ったれてる。
もう今更引き返せないよ。
あたしはもう巻き込んでしまってる。
まどかも、美羽も。
"覚悟"が決まらないなんて言えない。
柏木組の生き残りからしたら、あたしは憎い存在だろう。
もちろん、芳樹も。
身を隠して、ママ達に守られて、何も知らずに安全に生きてきた。
自分の仲間を、死に追いやった人を怨むなと言う方がムリな話。
確実に芳樹を、柊組を憎んでる。
その芳樹と関わりを持つ、あたし。
しかも佐倉組の元組長の娘。
その時点であたしは腹を決めなきゃいけなかったのに。
『………真』
『…まどかァ。花火終わったの?』
『ああ、調度さっきな。私にも一本くれないか?』
『ん、どうぞどうぞ』
『サンキュ』
二人で星を眺めながら、紫煙を吐き出す。
『何かあったんだろ?』
『……ん、なんで?』
『そんな顔してる』
まどかも芳樹も、顔に出してるって言うけど、あたしそんな分かりやすい?
ヤベェ。
『あたし、甘ったれてたよね』
『なんでそう思う』
『まどかも美羽も巻き込んでおいて、覚悟決まってなかった』
『……バカ、巻き込まれたなんて思ってない。私は私の意思でここにいる』
まどかは、強い。
そして真っ直ぐだ。
眩しくなるくらい。
『真もそうだろう?』
『え?』
『真も真の意思でここにいる。違うか?』
そう、だね。
あたしはあたしの意思でここにいる。
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